雨戸洗い

ぼんやり

父から引き継いだ祖母宅の整理と手入れも終わりが見えてきた。屋内が大方、思い通りの形に整ってきたので、外回りの手入れに移行する。

築40年を超えた鉄筋の戸建ては、古民家というには新しく、新しいというにはガタが来ている。10年単位で外壁の塗り直しや広い庭の手入れを請け負ってくれていた父も喜寿が視野に入り、軽快に「やるかー」とは言わなくなった。

2023年、師走。有難いことにこの年末の暖かい日は、私の休みと重なっている。

昨日のこと。まず手始めにと、ベランダの雨戸洗いに着手した。40年、雨風台風からガラス戸、ひいては家族を守ってきた雨戸は、外は赤茶け、内は埃が頑固にこびりついている。

使い捨てを前提に100均で購入したブラシでコリを刮ぐように擦る。水をかければ、埃はみるみるうちに泥水のようになって流れていく。昼から雨の予報だったけれど、天は味方して全て洗い終わってから降り出した。

私が子供の頃は、まだ元気だった祖母も一緒に毎年雑巾掛けをしていたから、この埃が40年来のものとは言えないけれど、確かに40年来の蓄積があって、かつて家族で落とした汚れを今は私ひとりで落としている。自分が選んだことで、何もかも納得の上だけれど、5人で暮らした家にこれから先ひとりで住むことになるというのは、虚空のような、清々しいような心境である。

一度空っぽにして、そこにまた築いていく。

これを節目というのかもしれない。私は自分の人生の始まりを、すでに何度か感じている。今もまた、感じている。

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