朝は職場についたら、夜は家に帰ったら、落ち着いて調べたらいいと思うことを、思いついた瞬間即座にスマホで調べてしまっている。電車の中でスマホを使うことをやめたいし、月額の通信費を抑えるためにパケット使用料を3ギガ以内に収めたい。今すぐに誰かに伝えなくては行けないことでは無くて、純粋な自分のための思いつきだから本当に急いでいないのに、咄嗟にスマホを掴んでブラウザを開く速度に、自制心が追いつかない。私の私による速さだと言うのに追いつけない。
自制心が勝つと、今度は職場に着いたとき、家に帰ったとき、何を調べようと思っていたのか忘れてしまう。なんだったっけ、と思い巡らすならまだ良い方で、なんだったけとも思わないまま手を洗わなきゃ、コートを脱がなきゃ、猫を撫でなきゃ、お風呂に入らなきゃというルーチンを回すことが優先される。ここでも私は、ルーチンを回す私の速さについていけない。
凪いだ人生を生きたいと願い続けているのに、私はどうしてか驚くほど速い。
猫が伸びをしている。人間など笑って殺せる速さを身につけているくせに、人間の鈍臭い速さを笑うようにのんびりゆったりと伸びている。
君たちの、とぼけたのろさが私を呪う。
猫達が一生をとぼけていられるように、私は一分一秒を惜しんで急いで稼ぐ。そう思うことが私を慰める。